台湾立法院選

12日、台湾の立法院(国会)選挙で、野党国民党が圧勝した。与党民進党は、結党以来の歴史的敗北です。大事件ですね。駐在していた頃と違って情報量も減っていて、役に立つコメントもできない状態ですが、今度は、逆に、思いきりいい加減になって、台湾有権者の多数意見の気持ちを「台湾さん」になりきって独断で書いてみましょう。

らくちん:民進党負けましたねえ。

台湾さん:いやあ、負けも負けたり。ここまで負けると、緑(与党支持者)も気持ちがいいのでは。

らくちん:ずばり台湾さんの真意は?

台湾さん:外交は、現状維持。経済政策は、変更。陳水扁は、飽きた。ですよ。

らくちん:なるほど。では、外交からお尋ねします。国民党を選んだのは、外交を中国よりに修正しろ、または、統一志向が増えたということではないのですか。

台湾さん:いや、外交は、現状維持。贅沢を言えば、中国への経済進出に障害が出ないように中国とも仲良くしつつ、アメリカもよくまるめこみながら、少しずつ政治的独立性と国際社会での生存区間を確保していくのがいい。それができないなら、現状維持。アメリカともめるなんてもってのほか。難しい要求だっていうかもしれないけれど、台湾のビジネスマンは、どこも、国のサポートなくて徒手空拳で、アメリカ人、中国人、日本人を手玉にとって、商売伸ばしてきたんだから、それくらい、政治家もやりゃいいんだよ。

らくちん:馬英九氏は、政権をとった場合、統一に向けて中国と取引をしないですかね。

台湾さん:無いね。その可能性の有無を我々は、ずっと見てきた。結論は、馬英九は、そんなたまじゃない。だから、国民党に票をいれた。また、もし馬英九が変なことをしようとしても、我々が許さない。こんなに大好きな民主主義と、表現の自由が侵されるなら、暴動でもなんでも起こす。

らくちん:ならば、国民党が、有権者に対し「馬英九は、そういう大それたことをしない人だ。」という説得に成功したのが、今回の選挙の勝因の一でしょうね。しかし、李登輝氏が総統になるとき、外省人は、「李登輝は、学者で大それたことはできないから安心。」と言っていました。その後、彼らは、「李登輝にだまされた。」と言っています。今度は、本省人がだまされるかもしれないと思わないのですか。

台湾さん:大丈夫だって。当時の甘ちゃんの外省人と違って、政治的につらい目にあってきたおれたちの目に狂いはないさ。台湾の民意は、こわいよ。中国だって、台湾の民意の反発が怖くて、余計なことを言わなくなっただろ。

らくちん:では、次に、経済です。

台湾さん:阿扁(陳水扁)は、経済政策、最低。自殺者は、増えるし、みんな困っちゃった。弁護士で、口ばっかり、イデオロギーで政権を運営するからかなわん。最初は、本省人の企業家は、みんな阿扁を支持していたよ。でも、いまは、企業の幹部は、みんな、青(野党支持者)になっちゃった。

らくちん:企業の経営者の方々は、中国への進出にブレーキをかけた点で与党を批判しています。一方、庶民は、企業が中国に工場を移してしまって、失業率が悪化した点を、批判しています。陳水扁氏としては、矛盾する二つの批判を同時に受けているようにも見えます。どうしようもなかったのではないですか。

台湾さん:勝ち負けになる政治やイデオロギーと違って、経済では、両方上手くいくことは、可能でしょう。中国に付加価値の低い組み立て工程を移し、付加価値の高い基幹部品製造や世界向けのブランド育成などのマーケティングを台湾でやれば、企業業績も上がるし、本土内の労働者も潤う。日本が、そうやってるじゃない。
台湾では、空洞化後に格差の拡大が日本以上にできてしまった。民進党政権は、もう少しそれを緩和できたはずだ。民進党は、自分の失敗でできた格差社会の、上と下から責められているんだから同情の余地ない。
経済政策というのは、大きなアドバルーンよりも、実務的な良い政策をたくさん積み上げることでしか成果を出せない。そういうのが、民進党は、苦手だった。冷静になって考えると、大きな失敗政策があったというよりも、実務で、少しずつ間違った判断を重ねて、結果として、経済状態を悪化させたということかもしれないね。

らくちん:経済失政が、敗因の二ですね。国民党はできるのですか。

台湾さん:国民党には、本省人の優秀な経済官僚がいるから、実務的には、民進党よりしっかりしていると思う。いうほど期待はできないけれどね。

らくちん:では、選挙戦術は。

台湾さん:今回の民進党は、ど下手だったなあ。もともと、民進党は、選挙上手だった。得票率が大体1/3程度で変わらないなか、どのメディアより正確な選挙情勢分析に基づいて、厳しい候補者調整をし、死に票をできるだけ減らして議席を増やしてきた。自分達の選挙戦術の能力に自信があったから、小選挙区制に変更した。
それなのに、選挙戦術で失敗した。実際、比例代表の民進党の得票率は、37%で、いつもとそんなに変わりないにもかかわらず、議席割合が24%なんて、選挙戦術の失敗以外のなにものでもない。昨年の5月の予備選で、議席数が半減する中、現職同士が公認をみにくく争ったりしてイメージと体力を落としてしまった。また、今回は、台連(李登輝氏が指導)との調整も失敗した。民進党と台連の与党陣営は、自滅だったね。

らくちん:丁度、2000年の選挙で宋楚瑜氏と連戦氏がつぶしあって、陳水扁氏が当選したのと逆になりましたね。

台湾さん:まあ、今回の李登輝は、2000年のときの3人ほども票を取れなかったけれどね。
宋楚瑜が、台北市長選で惨敗したのが、却って青(野党陣営)には、よかった。今回、調整がうまくできた。その点、今回、台連が惨敗して一議席もとれなかったのは、緑にとって、総統選でプラスに働くかもしれない。

らくちん:いよいよ総統選ですね。

台湾さん:国民党有利。しかし、台湾人は、バランスを重視するからね。今回、国民党に勝たせ過ぎた感じがしている。馬英九や国民党が少しでもおごったそぶりを見せるとおとしてやるさ。
ところで、あんた、誰を支持しているの。

らくちん:李登輝さん。やっぱり、日本人は、李登輝さん好きですよ。あれだけ、日本によくしてもらっているのだから、厚遇しなければ失礼です。李登輝さんも、もう何度でも何ヶ月でも好きなだけ日本に滞在して欲しいですね。温泉にでも逗留してね。中国だって、何もいいませんよ。

台湾さん:台湾人にとっては、過去の人だけれどね。そりゃ、日本人は、彼によくしてあげなきゃね。李登輝を好きでなくなった台湾人も結構いるけれどさ、どの台湾人も、李登輝につらくあたる日本人は、嫌いだろうね。

(以上、本当に独断と偏見で書きました。あんまり真に受けて怒らないでくださいね。)

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この記事へのコメント

らくちん
2008年01月17日 23:41
山一さん、Kさん、コメントありがとうございます。ある意味で、普通の民主主義が行われているのでしょうね。台湾人の政治学者は、「ウルトラ民主主義」って言っていましたが...
k@神奈川
2008年01月16日 00:06
私の周囲の台湾人の意見を集約すると、民進党というより、陳総統の評判があまりにも悪いですね。民進党、国民党の差というのは、多少の違いはあっても日本の自民党と民主党の違いといったところでしょうか。むしろ我々のほうが、独裁時代の国民党、弾圧された民進党といった過去のイメージから抜け出せないようで、何か勘違いをしがちです。それにしても驚きなのは投票率の低さです。ほとんど日本並み、ついこの間まで(私の感覚では)一党独裁でまともな選挙もなかった国とは思えません。民主主義とは、良くも悪くもすぐに慣れてしまうもののようです。
山一
2008年01月15日 21:23
ありがとうございました。こういう、経験と知識に裏打ちされた、でもローキーのご意見をいただきたかったので、とても嬉しいです。ネットの世界だと、よその国(といっていいのか?)の話だというのに、中国との関係から、とってもエキセントリックでイデオロギー的な表現が多くて辟易していました。らくちんさんのように、穏やかな文体で語られるととても説得力がありますね。
ありがとうございました。

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