割烹料理屋の魚

東海林さだおのエッセイだったと思うが、割烹料理屋の水槽の魚の気持ちをおしはかったものがある。魚としては、水槽からあげられてさばかれるのを避け、なるたけ長生きしたいので、亭主の顔色の伺いと客の値踏みを注意深く行って、身の処し方を決める。

店にとって大事そうな客が来たときには、亭主は、活きのいい魚をあげようとする。だから、魚の方は、いかにも弱ってそうに口をパクパクして、時には、お腹を上にみせてひっくり返ったりする。店にとってどうでもよさそうな客がきたときは、今度は、弱った魚からあげられるので、魚の方は元気に泳ぎ回ってみせる。それが、水槽の中で長生きするコツだ。魚は、水槽の中から、じっと、客の筋のよしあしを観察しているという話だ。

ここではかいつまんで話したが、ある程度の話術とともに酒席でこの話をすれば、なかなか盛り上がる。ひとしきり大口開けて笑った後、千鳥足で一人自宅に向かって歩いているとき思うものである。そういえば、サラリーマンも、上司が新しい仕事を持ち込んできたときに、面倒な仕事のようだと、急に忙しそうにしてみたり、面白そうな仕事だと、暇で元気が余ってしょうがないという顔をしたりしているよなあ。でも、水槽の魚と同じで、やたら元気な奴とか、死にそうにくたびれた奴は、結局、長生きしないようだなあ。

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