「点・線・面」隈研吾著

〇オリンピックの新国立競技場を設計した建築家・隈研吾氏が、20世紀のコンクリートと鉄鋼の建築を乗り越えて、「建築の未来、人間の未来」を語る本(2月発行 岩波書店)。「人と人、人と物、人と自然をつなぐ思想と実践」の主張は、建築だけでなく、21世紀の個人、企業、経済、国際政治すべてが、必死で目指している方向だ。

〇いくつか感動した文を引用する。
・環境とは、点・線・面の構成ではなく、点・線・面が作る肌理である。(P.12)

・今、形態のデザイン論から、時間のデザイン論への転換が起こりつつある。(P.23)

・僕らの建築は、さまざまなものが加算され続ける場であり、小さな粒子が流れ続ける場である。(P.25)

・スケールの差によって、次元は相対的に変化するというのが、量子力学によって提示された、新しい次元観なのである。そのような相対的世界観を、物理学は有効理論という語を用いて説明する。すべて理論、法則は、一定のスケールの中でのみ成立する、限定的、相対的なものでしかないという考え方を、量子力学以降の物理学は、有効理論という。(P.32)

・物理学の論理が小さい物から大きい物へと進化するという直線型、進化論型ではなく、大きい物の中にも、小ささを発見し、そして小さい物の中にも、大きさを発見しようとする。極小から極大までの重層性を許容する寛容性、極小から極大を自由に行き来するスピード感覚。(P.43)

・物質とは点・線・面の集合ではなく、点・線・面の振動であり、響きであると再定義される。(P.48)

・手法のシンプルさ、トビケラの迷いのなさによって、巣という建築が、身体そのものに感じられる。(P.78)

・日本の伝統木造の線は、単に細いだけでなくはなく、自由に移動できるものでもあった。(P.131)

・自然から人工物、さらに身体へという、ゆるやかなグラデーションを作れないだろうか。(P.140)

・日本の土塀は、頼りなさによって、地震力を吸収していた。このゆるく曖昧なシステムで、日本の木造建築は地震に耐えてきた。(P.171)

・ 現代のコンピューター・テクノロジーは、建築に加算性を取り戻した。今、完結せずに、次々直し続け、足し続ける建築が、コンピューター・テクノロジーによって可能となったのである。(P.175)

〇彼の主張のほとんどが、21世紀に危ぶまれている日本の産業、特に、製造、サービス業が進むべき方向を示している。彼が日本の木造建築や浮世絵を取り上げたように、我々は、明治などの伝統的技術を見直しながら、新しい技法を生み出し、有限多数の重層性を、自由に速く、有効に動きたい。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

この記事へのコメント