凄味と色気

凄味は一貫性、色気は変化。筒井康隆の「創作の極意と掟」(講談社)を読みかけて、そう思い定めた。

筒井康隆がいうように、やくざは、「やくざだから凄いのではなくその精神生活、行動原理、人間関係、過去の履歴、運命などに凄味を引きずっていることを想像させるから凄いのであ」る。矛盾に満ちた現実の社会の中で極度の一貫性を保つことは、それだけでどうしても陳腐な常識や価値観から逸脱し、大変な軋轢と苦労を起こしてしまう。そのなかで、なお一貫性を保ちつづけようとしていると凄味がでる。筒井康隆があげる例でいえば、「麻雀放浪記」のギャンブルにのめりこむ人間の一貫性とその結果としての喪失感に凄味がでる。ビジネスでいうと、小倉昌男氏や本田宗一郎氏の社会との軋轢をものともせず、常識を打ち破る一貫性にこそ、凄味がでる。

一方で、色気は、変化からでる。「単に男女のエロチックな愛欲描写だけをえんえんとやっただけでは小説としての色気は少しも感じられない。」その通りだ。最も色気のある小説家とする「賢治の「注文の多い料理店」でも、自分たちが何者かに喰われると知った二人の青年紳士が、死の恐怖におびえて泣き叫ぶところなど、異常なほどの色気だ。」そう、喰われると知ったときの変化にこそ色気が宿る。美輪明宏の名言に、「色気とは?」と聞かれ「口説けば落ちると思わせることよ」というのがある。これもまた、落ちていないものが落ちる変化の予感こそが色気になることを示している。筒井康隆が、色気のある特筆すべき女性として、コンドリーザ・ライスを挙げ、「国務長官を辞めてから見違えるほどの色気が出てきた。」とするのもつんでれ的変化に色気を感じているのではなかろうか。

色気と凄味かあ。およそ僕の性格からすると、対極といってもいいほど縁遠いものだけに、あこがれます。

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