コンステレーションとストーリーとビジネス

臨床心理学で、「コンステレーション」という発想がある。クライアントの周囲に起こっている直接は関係がない様々な事実を夜空の星を見るように、冷静に眺めてみる。無理やり因果関係を見つけようとしない。ただ、その配置を眺めることで、自分が感じる驚き、喜び、違和感、連想などを大切に意識の上にくみだしていく。その過程の中で、自分が解決策を出さなくても、自然に相手の人間が問題を解決していくことがある。ビジネスにもあてはまるように思えてならない。

あるビジネスについて考える時、お客の気持ち、働いている人の個性、お金の流れ、パートナーの過去の行動などの事実をまずは、事実のまま並べてみる。いちいち、これはOK、これはだめと善悪可否を判断せずに、まずは全体の配置をみるのである。また、相関関係を見出しても、敢えて因果関係を深く探ろうとしない。そうした配置、即ち、コンステレーションを見ていくなかで、自分の感じたことをくみ出しておく。そうすると、直接自分が実行することは、ごく少しでも、非常に上手く行くことが多い。(「ビジネスを傾聴する」)

そして、このコンステレーションを人に伝えるのに、ストーリーを使うのが一番効果的だ。ユング派の河合隼雄は、「物語るということによってこそ、コンステレーションは非常にうまくみんなに伝えられるのではないか。」(「こころの最終講義」)という。モーツァルトは、交響楽を一瞬のうちに聞くと自ら言っている。モーツアルトがその一瞬で把握したコンステレーションをみんなにわかるように時間をかけて伝えようとすると20分かかる交響楽になる。星の姿、星座を話そうとすると、ギリシャ神話のような物語になる。

だから、ビジネスで、ストーリーが大切なのだろう。いろんなことを考慮してモノやサービスができている。内部には、曼荼羅のように複雑で多様な配置がある。それを、分かりやすく、理屈ではなく、心が納得するようにお客やパートナーに伝えるのは、ストーリーが一番いい。

僕は、20代に河合隼雄の本をほとんどすべて、浸りきるように読んだ。この6月に、「こころの最終講義」という文庫として出版されたので久しぶりに買ってゆっくり読んでいる。1993年7月に出版された「物語と人間の科学」を改題だ。今、読み直してみると、本当に感慨深い。せっかちで理屈っぽかった僕が、人間社会の問題を解決するのは、感情を大切にしてゆったりと受身でいることも必要だと気づかされた。そんな若いころの自分の心象を思い出す。

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この記事へのコメント

らくちん
2013年06月23日 21:03
健冒症さん、コメントありがとうございます。違和感とか気持ち悪さって、実は、大事ですよね。難しいですが。
健冒症
2013年06月19日 11:41
確かユング派においては、”感情”による判断も論理的という分類でしたね

全体を眺めて調整するべき個所を見出す際には、違和感とか気持ちの悪さを感じるかどうかが重要と思います

私の営業マンや営業リーダー時代の経験に照らして考えると、得意先との会話の中で感じた違和感を面談後に振り返ることが重要だった局面が何度かあったのもので・・・・

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