「新薬アクテムラの誕生」大杉義征

国産初の抗体医薬アクテムラを開発した中外製薬の研究者が、自ら開発の過程を説明している。企業内イノベーションの好例だ。大学などの社外とオープンに連携しつつ、一方で、外資の傘下入りなどで転変流転する社内環境の風向きを読みながら、上手に開発を進めている。企業内イノベーション、産学連携、海外との熾烈な研究競争、日本の創薬システムの問題(ドラッグラグ)、最近の抗体医薬開発の難しさ、などなど色々考えさせられる。

アクテムラは、関節リウマチなど自己免疫疾患の治療薬だ。著者によると、強い有効性により、2012年には年間の世界売上が10億ドルを超える「ブロックバスター」になり、二、三年後のピーク時の売上は2千~3千億円になることが期待されているという。

製薬会社が、従来から開発してきた低分子薬の開発は、いまや行き詰まりつつあり、最近では、「バイオ医薬」とか「抗体医薬」といわれる医薬品の開発が主流になっている。抗体医薬の開発が従来の低分子薬に比べどこが違うのか、この本で説明されているものを挙げてみる。

抗体医薬の場合、ヒトと交差反応を示す動物が霊長類などに限られ、実験の自由度が少なくなり開発に費用と時間がかかる。これは、こうした薬の効き方が、ヒト(あるいは、ヒトに近い霊長類)固有の免疫反応と密接に関係しているからだ。それは、インターロイキン6のような、複雑な構造と作用をもったものをピンポイントで阻害するからといえる。

一方で、こうした抗体医薬の場合、副作用を予測するときに、インターロイキン6の作用だけを追いかけていくと、概ね見当がつく。低分子薬の場合は、構造がシンプルなだけに体のどこでどういう作用がでて副作用となるか予想しがたい。

いずれにしても、サラリーマンとしては、社内イノベーションについて、色々と考えさせられますねえ。このブログでもつい先日書いた、「経営センスの論理」「ナスルディンの鍵」、「創発的戦略
などを思い起こしてしまいます。

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