一本の電線

今回の津波は、北上川を50kmも遡上しました。その下流の十三浜あたりでは、北上川に流れ込む小さな谷川に沿った集落も壊滅的被害を受けています。僕は、そんな小さな谷川にたまったがれきを拾いました。その谷川の下流の、北上川に流れこむあたりにある学校が三階までやられていますので、谷川の上流も、相当奥にはいっていっても、がれきで一杯です。

ボロボロになった学校の敷地内に車をおいて、谷川に沿って歩いてのぼっていくと、ぺしゃんこになった消防車や、バイクなどが小道沿いに残っています。建物は、全て倒れてなくなっています。もうこのあたり一帯に住んでいる人はいないようです。

その谷川を数百メートル上流にのぼったところで、僕たちは作業しました。バケツ、ぬいぐるみ、住民基本台帳証、屋根の一部、ふとん、カラオケの歌詞ブック、かべの一部など、ありとあらゆるものが川辺に集まり、がれきの山となっています。谷川の端に積み上がっているそれらを手で拾い上げ、がれき置き場に運び出しました。

一区切りして歩いて帰る途中、谷川から少し離れたところに、民家があるのに気付きました。谷川から数十メートル奥まっていて、高さもそこそこあるので、どうやら、倒されずに残ったようです。どうやら、人が住んでいるようでもあります。

そこで気付いたのですが、物干し竿のような細い鉄柱が道の端に点々とならび、一本の電線を支えています。その小さな谷川にそって、建物一つないなかをずんずん下流につながっています。それは、その一軒の民家に電気を供給するためだけに、数百メートルも引かれた電線と電信柱です。

これは、立派だと感心しました。現場の判断で引いたのか、この民家の必死の要請が届いて引かれたのかは、分かりません。経緯はともあれ、結果的に、この一軒のお家に電気を通したのは、立派なことです。復興に当たられる方がちゃんと現場の状況に合わせて進められているからこそです。日本の社会も捨てたものじゃ、ありません。

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この記事へのコメント

mio
2011年07月14日 21:37
よい場所に行かれたと思います。ただ、それほどにも電気がわれわれの生活の基盤にあるということにあらためて気付かされ、どうしたものかと思ってしまいます。
ラチェット
2011年07月13日 00:35
その家の方に聞いてみないと判らないですが、
田舎では、ある程度奥まったところに、電線を引く場合、
電柱一本に対していくら、という風に、自己負担で電気・電話を引いている場合があります。

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