サラリーマンのコツ 原発情報編

カズがカズダンスをちゃんとしたように、サラリーマンは、サラリーマンをちゃんとやりましょう。今回は、サラリーマンのコツとして、過去に僕が書いたモノを中心に、原発の具体例を参照して、危機のときの情報の扱いについてのコツを書いてみました。前回同様、原発や民主党政権の是非については議論に敢えてたちいらず、将来の現場の実践のための教訓を得ようとするものです。

○ 情報
福島原発について、説明不足とよく批判されていますが、僕は、むしろ、危機管理としては、僕たち一般人(被災者を除く)に説明されている情報が例外的にとびきり多いとみています。新聞やテレビからあれだけ大量の情報が、じゃぶじゃぶでてくるのですから。また、政府や東電が、情報を操作しているなんて余裕はないでしょう。いくつかの情報の公表を少し遅らせるのが精一杯で、ウソをつける程、事態をマネージできているようには、見えません。海外のメディアが説明不足と批判しているのは、日本支局の日本語の能力の不足のせいではないかとさえ思います。

僕たち一般人には、多すぎる情報をどう取捨選択するかの必要に迫られているともいえます。洪水の時、川は、大雨が降って急に水かさが増えると、濁った水が大量に流れます。緊急時ほど、叫び声や批判の怒声は数あれど、ちゃんとした情報がはいらないものです。

特に、今回は、理論などの知識は大量にあるものの、現場のシンプルな情報、例えば、ある場所の温度、圧力、放射線量などが入手困難なようです。危機的状況では、ほんとに簡単な情報すらなかなか入ってきません。数少ない不確かな情報を基に、今、判断しなければなりません。

そういう情報不足の状況下で判断できないリーダーは、苛立って現場や部下に、「ほうれんそう(報告・連絡・相談)がない。基本ができていない」と怒鳴り散らすことになります。それでは、下が萎縮してさらに情報が入ってこなくなります。こういう幹部は、自分が危機下での判断力も、組織構成力もないことを大声で言っているようなものです。もともと確かな情報がないなかで判断しなければいけない状況にあると、覚悟しなければなりません。

また、コミュニケーションが悪いのは、発信側だけでなく受信側にも半分責任があります。貴重な情報、大切な徴候は、現場にあります。しかし、現場の人は、判断力や実行力にたけていても、情報説明力が弱いことが多い。その口ベタな現場からどれだけ多くの正しい情報をくみ出すかが勝負です。

とにかく奇妙な現象が起きていると現場が言ったときは、「そんはずがない」などと言わず、しっかりその現象を聞き出さなければなりません。また、大変なことが起こっていて、とにかく悪い話は早く伝えようとして伝え、後で間違えていたと分かったら、あまり責めない方がいい。そこで責めると、次に悪い知らせを言ってくれなくなります。

ロジカルで一貫した説明をしている評論家よりも、矛盾はしているがリアリティがある現場の声に耳をかたむけなければなりません。現実は、矛盾にみちており、アナログであり、リニアです。危険とも言えるし、安全とも言える。可能性が高いところから、困難な状況まで、連続的になっており、出来るか出来ないかはっきりしている訳ではありません。それをできるだけありのまま把握する。その上で、行動は、するかしないか、デジタルに判断しなければなりません。状況認識は、アナログに、行動判断は、デジタルに。

○ 協力
この人に説明する必要があるのかしらんと思うような人にまで説明し続けるのは大切です。東京消防庁のハイパーレスキュー隊の場合も、奥さんが、「頑張って」と声をかけたのがモチベーションをアップしていたようです。奥さんもテレビで、発電所が大変な様子を知っていたから、そういうことができました。僕は、以前の「サラリーマンのコツ」で次のように書いています。

余分な情報まで伝えておいたほうが、協力を得やすい
できれば、コピーをとってくれる人にも、お茶を出す人にも、その仕事の意味を分かってもらっておいたほうがいい。そうすると突発事故で急ぎの仕事がでても協力してくれやすい。
(「サラリーマンのコツ」2008年12月)

○ 自らを評する人は注意
自らを評する人は注意です。また、僕の以前の文を引用します。

「自分は口が堅い。」「オレがはらを決めればいいんだろ。」「最後は、オレが行商でもなんでもして売るさ。」と自分の性質や覚悟をすぐ語る人は、要注意である。経験的には、「自分は口が堅い。」という人ほど大事な情報をよくもらす。(「サラリーマンのコツ」2008年12月)

「オレは、原子力は強いんだ。」と言ったリーダーがおられたとか。そういう人には、要注意です。とはいえ、非難に時間と労力を使っていてはいけません。そう自称するけれども、実際は、違う人が、そこにいるというのを所与の前提として、現場は、対応しなければなりません。

○ 勇敢な者ほど先に死ぬ (これも以前の文の引用です)
これは、ダイエーの創業者・中内氏が、太平洋戦争で従軍中に得た経験だそうだ。重い言葉だ。(「サラリーマンのコツ」2008年12月)

今現場で作業をされておられる方は、そんなことを言っておられないでしょうが、出来るかぎりの安全策をしていただきたいと祈ります。

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この記事へのコメント

通りすがり
2011年04月22日 15:08
有事においても首相が代わるようでは、日本国の対外的な信用がなくなってしまいますからね。評価以前の問題でしょう。らくちんさんらしくないですね。
らくちん
2011年04月17日 15:01
通りすがりさん、コメントありがとうございます。菅さん、他の短期宰相に比べて、政権維持に一生懸命なのは、評価したいですよね。
通りすがり
2011年04月04日 10:50
”「総理、原発は大丈夫なんです。構造上爆発しません」。機内の隣で班目(まだらめ)春樹・内閣府原子力安全委員会委員長が伝えた。原発の安全性をチェックする機関の最高責任者だ。”

水素爆発の発生

”菅首相は11日夕、公邸にいる伸子夫人に電話で「東工大の名簿をすぐに探してくれ」と頼んだ。信頼できる母校の学者に助言を求めるためだった。”

東工大出身の菅さん、予想外にしっかりしてますね。

http://megalodon.jp/2011-0404-0848-43/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110404-00000005-maip-pol
らくちん
2011年04月03日 21:56
なりひらさん、k@神奈川さん、通りすがりさん、コメントありがとうございます。いずれにしても、できるだけ速く、安全な解決を祈っています。
通りすがり
2011年04月02日 12:12
”危機管理としては、僕たち一般人(被災者を除く)に説明されている情報が例外的にとびきり多いとみています。...、政府や東電が、情報を操作しているなんて余裕はないでしょう。いくつかの情報の公表を少し遅らせるのが精一杯で、ウソをつける程、事態をマネージできているようには、見えません。”

この文章を読んで呆れてものが言えなくなってしまいました。情報の小出しは、本来彼らが予想できる結論、そしてそのために掴んでいる都合の悪い事実を隠蔽しようとしていることは明白です。台湾でSARSを経験した背景からのコメントととのことですが緩すぎませんか?

以下、チェルノブイリ作業者のコメントです。

http://megalodon.jp/2011-0402-1201-46/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110402-00000097-san-int

当事者が都合の悪いことを隠すのは当たり前。それを疑うことでわれわれ一般市民も適切に対応できるのではないでしょうか?

こんな論説を掲げるようでは、被爆の危険に晒されている被災者の方達が可哀想です。
k@神奈川
2011年04月02日 07:17
会社の中国人社員は、1名を除き全員帰国しました。今すぐ当地は問題はない、と何度説明しても、彼らは政府の情報は信用できないようです。お国柄とおもっていましたが、確かに台湾でのSARS騒動の時の日本人社会の行動を思うと、外国で暮らすというのは不安の多いものなのだなあと、少し彼らを理解できる気はします。私は今回の原発の情報は、らくちんさんの言うとおり、組織的な操作、隠蔽はないと思っています。そんな余裕なさそうですもんね、放射能も情報も垂れ流し状態。それもなんだか心配だけど。
なりひら
2011年03月31日 00:34
貴見、うんうんと頷きながら読んでいました。日常の職場管理にも通じるものです。東電のマネジメント、確かにぬるい気はしますが、そんなボろではありません。多分、どうしようもない難題に直面しているのでしょう。

たとえば、オーストラリアの山塊から採取したウラン鉱石に含まれるプルトニウムを、科学技術で抽出して、スーパー燃料に利用出来たのは人類の英知。でも、突然、想定の3倍を超えるスケールの津波が襲来して、三重の危険予知で作られたバリアを、いとも簡単に破壊。頑丈な炉の中に封じ込めていたプルトニウムが目覚めて、自然に還ろうと暴走する。あたかもこんな筋書きのドラマで、人類連合軍は完敗。多分、チェルノブイリのように封じ込めることだけはできるでしょうが、旗色は悪いですね。明日からの日米仏連合軍の活躍を注視します。
http://happy.ap.teacup.com/applet/ibaraki-doji/msgcate2/archive

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