「オバマは世界を救えるか」吉崎達彦

プリンシパル力を磨く本!エージェント(代理人・専門家)を見抜き、使いこなす、そういう、プリンシパル(依頼人・ジェネラリスト)としての力を磨くことの大切さを教えられました。どのページをめくっても、「くすっ」と笑ったり、「へぇ」と感心する箇所がある、実に楽しくてためになる本です。読みやすいのですが、もったいなく思ってゆっくりゆっくり読みました。

プリンシパル(依頼人・主体者)-エージェント(代理人・専門家)問題というのが、患者と医者、国民と政治家などの関係で、政治でも経済でも、話題になっています。著者は言います。

コンサルタント、アナリスト、エコノミストなどの「エージェント」の方が、「プリンシパル」より脚光を浴びる昨今の風潮に、胡散臭いものを感じる。プリンシパルである読者・国民は、国際金融危機についても、米国政治についても、専門家の意見を鵜呑みにせず、ジェネラリストの立場にたって、情報をクロスさせて見抜いていく。その上で、自分なりの解決方法とか世界観をつくっていくことが大事だ。それがエージェントにだまされない賢いプリンシパルになる道ではないか。

まさにこれをかんべい氏(著者)が、著作やホームページで実行してきて、周囲に教えてくれていることだと思います。

オバマの政治や、世界金融危機について、大局観のある分析があって、大変役立つのですが、それは、読むしかありません。ここでは、そのほかの点で、自分の備忘のために幾つか引用しておきます。

○ オバマ大統領の本質
本書で紹介されている田中明彦氏のコメントが鋭い。
「オバマ大統領は具体的政策として何かをしたいというより、グレート・リーダーになりたいのだと思う。」

○ You Attitude
オバマ氏の演説では、主語の”I”は、少なくて、”You”が多い。ヒラリーの”I’m ready.”、”I have an experience.”と対照的です。このオバマ演説の特徴は、商業英作文(コレポンレター)でいう、「主語をなるべく”You”にせよ」とするYou Attitudeと同じ発想です。「私がサンプルを送ります。」ではなく、「あなたのところにサンプルが届きます。」と書けという教えです。最近ではこんな書き方は、とんと忘れておりました。日常生活でも大切な姿勢ですよね。反省しました。

この本は、これまでの吉崎氏の著書の中では、氏の運営する人気サイト「溜池通信」のテイストに最も近いものです。「溜池通信」の愛読者としても、とても気持ちいいものでした。

特に最後の章は、驚くほど僕自身の実感に近いものです。経済の中世化、安保と経済の複眼、日本とアメリカの同質性と異質性などなど。自己紹介するときにこの最後の章を照会して、「だいたいここに書いてあるようなことを考える人間です。」と言おうかと思うほどです。きっと長い間、「溜池通信」を読んでいる間に、影響を受けて、ほとんど自分の実感になっているのでしょうね。

以前にも似た表現をしたことがありますが、吉崎氏の論説は、ゴルフでいうと、「バランスのいい美しいフォームで、球をよく見て打てば、スコアはおのずとよくなる。」というのを見せられている思いです。俗物のこちらは、どうしても、前のホールでのパットの失敗、目の前の池やバンカーなどが気になって、結局、体勢がくずれて、打った球が右や左に曲がってしまうのですが。

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この記事へのコメント

らくちん
2009年03月03日 07:20
かんべいさん、コメントありがとうございます。著者から直接コメントを頂き、感激です。今後も愛読させていただきます!
かんべえ
2009年03月02日 14:52
拙著を取り上げていただき、どうもありがとうございます。気がつけば当方も、このサイトからたくさんアイデアをいただいております。(ex:中世化する経済など)どうぞ今後ともよろしく。

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