リーチだけじゃ儲からない

消費者を囲い込めば、商売は、勝ったも同然。今は、儲かっていなくても、また、どう儲けるかが分からなくても、リーチやアクセス数を確保さえすれば、将来必ず儲かる。なんてネットビジネス勃興の頃は、よく言われた。しかし、いまやリーチをとりさえすれば儲かるという考え方は、通用しなくなっている。

ネットビジネスで、リーチやアクセスを確保して儲けるとなると、結局、ほとんどが、広告・販促モデルになる。しかし、今、ネットビジネスでは、いくらアクセスやリーチがあってもなかなか儲からなくなっている。「インターネット広告市場は、従来のようなPV(ページビュー)に連動する形で拡大するトレンドからは確実に変化しつつある.
」(インターネット白書2008)その理由は、なんだろうか。

まず、かつてネット業界を引っ張っていた先進的な大手広告主によるネットの純広告出稿の伸びが鈍化している。そもそもネットは、消費者の行動を細かく追えるのが、長所であった。成果報酬型広告や検索連動型広告は、まさにネットらしい広告手法である。しかし、細かく追えるが故に、今、ネットの広告主は、何人の消費者に自社広告をみせたかではなく、かけた広告費に対しどれだけ売上げが上がったか、費用対効果(ROI)を厳しくみるようになっている。媒体の幻想にお金を払わなくなったのだ。

次に、言えるのが、リーチの供給過多である。象徴的なのは、mixiショックだ。mixiは、巨大なリーチをもって、「ダンピング」と思われるほど常識破りの安いリーチ単価で広告を取り始めた。おかげで、mixi以後は、PVあたりの単価は、急降下して、他のネット企業は、困り果てた。冷静に考えてみると、ネットは、テレビのように電波という有限の公共財に依存しないので、無限に媒体を増やすことができる。PVは、無限に生産できる財でしかなく、mixiなくしても、結局、供給過多になりやすい商品だったのだ。

さらに、検索連動型広告への広告費の払いすぎがある。リーチを取るためには、媒体自体が検索連動型広告を出さざるを得ない。広告で稼ぐモデルの媒体ビジネスが広告費を出すのは不思議にみえるかもしれないが、雑誌が、中吊り広告をだすようなもので、媒体ビジネスでは必要なものだ。ところが、この検索連動型広告は、GoogleとYahooの二社で市場をほぼ独占しているので、単価があがり、リーチをとりたいネット企業の支出が増える。ちなみに、検索連動型広告は、前年比37.8%増えており、米国のようにネット広告費の4割を占めるようになるといわれている。

さらに、「一部の大手広告主では、広告から自社サイトへの送客に主眼を置く段階から、自社サイトへの投資拡大を通じて送客後のブランディングや販売促進に重点を置く段階へと移行し、予算配分の重点が媒体費から広告制作費にシフトする傾向もあるようだ。」(インターネット白書2008)

つまり、広告主が、費用対効果を厳しく見て、リーチだけにお金を払わなくなった。リーチ単価は、mixiなどの影響で急降下した。リーチをとるための費用は、検索連動型広告費がかさんで、ふくらんだ。おまけに、広告主は、純広告の出費よりも自社サイトの充実にお金をかけるようになった。この四方向攻撃のはさみうちにあえば、リーチがあったところで、儲からない。四面楚歌。結局、GoogleとYahoo以外のネット企業は、だれも儲からなくなってしまった。

おっと、ここまで書いておいて、ちゃぶ台をひっくり返すようで申し訳ないが、「リーチがなければはじまらない」のも事実だ。いまだに、消費者の視点に立っていない、供給者の論理に基づいた、お金儲けの方法ばかり熱心に考えているビジネスプランを見かける。このようなネットビジネスは、来客者からお金儲けする方法を備えていても、来店する客の数が少なすぎて、手も打ちようがないことになる。これは、議論以前の問題だ。

リーチは、必要条件である。しかし、十分条件ではない。議論は、そこからようやく始まる。

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