ギョーザ事件

あのぎょうざ工場、責める気がなくなってきました。真剣に日本市場を狙って、日本企業の変な要求にみんなこたえてきたようにみえます。まじめで親日的な会社ですよ。きっと。レイオフされた元従業員のいやがらせとかじゃないですかね。もしそうなら、天洋食品は、被害者ですね。みんなで叩くのは、もう少し冷静に、彼らの過失の内容と程度が分かってからにするべきではないでしょうか。

テレビでちらっと見たところ、「天洋食品」は、いかにも、日本市場向けに、日本人の過剰な品質要求を受け入れ、整理整頓をきっちりやってきた工場って感じですよね。これは、天洋食品の信用失墜を狙った、まあ「グリコ事件」のような犯罪の類ではないかしらん。そうとすれば、むしろこの工場は、被害者です。

事件が起こってから、マスメディアが、この天洋食品と取引のあった日本企業から、ひどい管理をしているといいうコメントをとろうと取材をしていました。でも、みんな安全管理がしっかりしていたと異口同音に言っていました。

ここからは、らくちんの勝手な想像です。中国には、分野を問わず、日本市場向けに特化した工場があります。グローバルスタンダードとはかけ離れた日本人の過剰な品質管理要求に対応します。日本の19社もの会社が買い付けていたという天洋食品は、そんな工場だったのでしょう。

こうした工場は、JTなどの日本企業から、合理的で科学的な思考法でとうてい考えられないような、日本独自の過剰な「品質管理手法」の採用を要求されます。ラインの配置など箸の上げ下ろしまで指示をしてくるし、味や安全と無関係な包装の印刷の微妙な色具合にまでクレイムしてきます。もしかするとギョーザのしわの数なんてのも仕様で決まっていたかもしれません。そうした、理不尽ともいえる要求を、欧米と取引のあるたいていの中国企業は、受け入れられない。最近、中国でも多い、アメリカに留学してMBAでもとったような経営者が見ると、馬鹿馬鹿しくてやってられなくなってしまいます。

そんな要求を全部、受け入れてきたのが、日本市場向けの工場です。こうした工場の経営者は、単に、日本市場の大きさに期待しての合理的なビジネスの判断では、日本企業との取引を継続できません。ほとんど宗教的ともいえる日本人の過剰品質要求を、肯定的に受け入れる精神的共感がないと、とても対応し続けられないのです。その意味で、親日家・知日家が多いかとも思います。

同業他社からもあんな理不尽な要求を受けるか、と罵詈雑言を浴びます。それでもそうした工場は、地道に掃除を徹底して、検査を繰り返して、成長してきます。天洋食品は、そんな稀有な工場だったのではないでしょうか。だからこそ、日本の19社もが、集中して天洋食品から買っていたのでしょう。

専門家によると濃度からみて原料の野菜の残留ではないとのことだから、製造後から流通の過程で混入したと思われます。日本の複数の港で陸揚げしていたものからメタミドホスが出てきていることから、中国の港をでる前でしょう。

もちろん、天洋食品の工場内での過失による混入の可能性もあります。徹底しているようにみえる日本市場向け工場でも、実は、現場が腹で納得していないので、意外なところで、抜けているものです。工場内に無造作にねずみとりの殺虫剤がおいてあったり、従業員のための食堂は、残留農薬の多い野菜を使っていたり。

そうすると、うらみをもつものの、犯罪的行為ということではないかと思ってしまいます。もしそうなら、天洋食品は、被害者でもあります。故意によるウソを言うという罪を犯したミートホープを産み出した社会が、今回の事件をもって、一般論として中国の日本向け輸出工場を叩くのは、よくないと思います。こうした工場をあんまり理不尽に日本の社会が叩くと、日本市場の要求にこたえる工場が世界からなくなってしまうかもしれません。

もちろん、こうした犯罪を産み出す中国の社会は、問題だと思います。また、今後、日本が海外から食品を輸入するに当たって、こういうことを再発させないにはどうするかというのは、考えなければなりません。冷静に前向きに、解決できればと祈っています。

ところで、「メタミドホス」と聞いて、「メタボヘラス」という名のダイエット薬ができたのかと、勘違いしたのは、僕だけでしょうか。

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この記事へのコメント

らくちん
2008年02月04日 23:14
かろかろさん、コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、こんな犯罪が起こる社会とどう付き合うのか、考え込んでしまいます。直感的には、事後の迅速な対応を磨くべきだと思います。
かろかろ
2008年02月04日 21:12
今度の騒ぎで、一番すとんと腑に落ちるコメントでした。
私は中国大陸をほんのちょっとかすめただけですが、おっしゃている事柄が細部に亘って一々私の貧しい体験のどこそこに合致し響きます。
多分、本当に真面目な工場だったんでしょうね。しかし、同業他社への妬みから製品に毒をまぜるような(屋台でも給食でもありましたね)底の抜けた倫理観をもつ数億の民が針の穴を突いてきた攻撃にはやはり無力だったということでしょう。
中国社会の難しさを改めて実感するとともに、そんな社会に縛り付けられた無辜の数億人をいっしょくたに高みから見下ろすごとく責め立てるのはいかにも筋違いに思われます。
もちろん、だからといってこのような事件もそれを生みだした風土も容認すべきでないことはいうまでもありませんが。

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