日米中

日米中の関係を考えると、ふと、今が一番、日本にとってバランスのいい時代じゃないかと思い始めてきた。最近、書店に行けば、中国脅威論の本がどっさり平積みになっている。だけれど、丁度、今ぐらいの状態の中国が、日本にとって、都合がいいのではないだろうか。

例えば、中国が政治的・経済的に混乱していて、統一を保てないような状態だと仮定するする。実際、李登輝氏も、幾つかの省が分離独立するのではないかと書いたこともあった。ポスト鄧小平時代は、何より中国の中枢の政治家が、政治的に混乱することを怖れて緊張していたのではないだろうか。中国の混乱は、全くありえない話ではない。

中国が混乱したときは、20世紀前半のときのように、色んな国の利権の取り合いになる。昔のように鉄道敷設権とか治外法権などの不平等条約はないにしても、中国から分離独立した地方において、各国は、軍事・経済・政治上、他の外国より優位な立場をとろうとするだろう。ソ連崩壊後のロシア周辺国をみるがいい。

何よりも、アメリカが、政府・民間ともに、政治・経済上の理由で殺到する。そのとき、アメリカにおいて、中国の隣りにいる経済大国の日本を、競合相手とみる風潮がでてこないだろうか。そんな中で、日本のおっちょこちょいの政治家か企業が、アメリカの世論を怒らせるような事件を一つ起こすと、大変だ。アメリカは、複雑な政治過程があってのんびりしているようだけれど、一旦、時の政権が競合相手と認定すると、後は、思い込みで逃げ道も落としどころも作らず追い詰めてくる。それは、先の第二次大戦でも、イラク戦争でも起こったことだ。

結局、中国が統一を保てないほど、政治的混乱が起こると、アメリカは、日本を同盟国というよりも、競合相手と見る傾向が生じやすい。そして、中国では、経済的混乱が起こると政治的混乱を誘発しやすいし、政治的混乱は、経済的混乱を生む。それは、日本にとっても大変困る。

一方で、中国が、冷戦時代のソ連のように、大国になりきって、アメリカや日本に余りに敵対的だとすると、それもまた、隣りにいる日本にとって、脅威だ。日本への脅威が増して、日米同盟が強固になったからといって、喜ぶのは、本末転倒だ。

最近の中国の、国粋主義的教育と世論や、軍事費の急増は、日本の安全にとって、いいことではない。もしかすると、日本にとっての、将来の大災害の準備が今行われているのかもしれない。

ただ、今現在をとってみれば、中国は、自らの実力を認識し、アメリカに正面きって敵対的になろうとしていない。アメリカでも、軍事的には、競合関係だが、経済的には、補完関係と認識している人が多い。

こうしてみると、大崩れせず順調に発展しつつ、世界に覇を唱えるほどではない、これくらいの今の中国の状態は、日本にとって悪くない。これくらいの米中の友好と緊張の関係が、日本には、丁度ではないだろうか。

10年、20年、30年たって振り返ると、「21世紀初めはよかった」と思える時が来るかもしれない。それは、そのときがつらい時代だからだろうし、そのつらい時代の準備は、きっと今されているということは、忘れてはいけない。

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この記事へのコメント

らくちん
2007年05月27日 21:27
Roverさん、コメントありがとうございます。今ぐらいが丁度いいものの、これより強くなることも、バブルがはじけて混乱することも、両方の可能性があるのが、ちょっと怖いですねえ。
2007年05月24日 11:38
はじめまして。
仰るように、アメリカが「日本よりも中国を大事にしたほうが得だな」と判断したら、日本は見捨てられるでしょうね。韓国が見捨てられかけている事実を、日本も他山の石とすべきでしょう。
ただ、一方でアメリカの「アカ」嫌いは恐らく世界一です。中国が共産主義を維持する限り、心底から親中になることはないと思います。
その意味では、今のように「その人口の多さゆえに、市場としては魅力的」だが、「最終的には信用出来ない」状態でいてくれるほうが良いのかも知れませんね。北朝鮮のお陰で日本も、まともな「国防意識」が高まりつつあるのと同じようなものでしょうか?

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