台湾から馬英九・国民党主席の来日

台湾国民党の馬英九主席が10日から来日し、台湾に台風が上陸してきたので、関西訪問を取りやめ13日に帰国した。次期台湾の総統(大統領)にもっとも近い政治家で、21世紀最大の国際政治上の焦点とも言われる中台関係の鍵を握る人物である。

中台関係は、21世紀の最大の国際政治上の焦点といわれている。この点については、岡崎久彦の書いた”The Strategic Value of Taiwan”というのが、最もよくできた論文で、最近では、Hacheさんが日本語訳をアップされている。(僕も3年前、ココで紹介しているが、岡崎研による訳へのリンクは、切れているようだ。)「ウルトラダラー」の著者手嶋龍一も、次回作は、中台関係と言っている。(ココ

今回来日した馬主席は、最大野党・国民党のリーダーで、世論調査の支持率では、現職の陳水扁総統を凌ぐ、最も次期総統に近い政治家だ。(台湾の政治については、らくちんが台湾在住時代に書いた、ココを御参照。マニアの方には、選挙区別政治状況などもあります。)

馬主席は、30年ほど前の映画俳優のような美男子で、若いうちから国民党のエリートとして育てられてきた。アメリカ留学の経験もあり、外国の要人と英語で話すのが大好きで、機会があれば、いかにも嬉しげに会いにいく。そういったバタ臭さで、南部の台湾人には、あまり人気がない。政策の基本は、対中現状維持を主張し、台湾重視の与党民進党との比較では、対中融和派ともみられている。

台湾と中国の政治は、ねじれと入り混じりが多くて複雑だ。国民党は、歴史上中国共産党と双子の兄弟のような政党で、組織や文化が似ており、常に対立しつつもお互いをよく参考にしている。最近、中国の胡錦濤主席は、国民党の蒋経国が台湾で行った綱紀粛正運動によく言及するという。

庶民レベルでの感情も複雑だ。台湾企業が大陸にものすごい勢いで進出したので、金にあかして中国でいい暮らしをしている台湾人の経営幹部も多いが、庶民レベルでは、結構いじわるもされたりして、入り組んだ感情を持っていることが多い。

今回、予定をキャンセルして急遽帰国する理由として、台風が来たからというのは、いかにも小さすぎ、何か他の理由があるのではないかと勘ぐるむきもあるかもしれない。他の理由の存在を否定する根拠もないが、台湾に住んでいた経験では、台風だけで急遽帰国するのも理解できる。2001年の9月には、台風で台北市が大洪水になり、市内の中心部ですら何日も停電になったほどだ。(ココとかココ)そのとき、馬台湾市長の対応が下手だったと、李登輝前総統が厳しく批判した。特に日本統治経験世代にとって、治水ができない政治家は、それだけで一発退場扱いだろう。今回、日本でニコニコ対談している間にまた、洪水にでもなれば、何を言われるか分からない。急いで帰るのももっともだ。

そういえば、台湾で台風が来たときは、テレビで、「不上班、不上課」(仕事お休み、学校お休みの意味)というのが報じられると会社が休みになった。それを期待して、ドキドキワクワクしながら、目を皿のようにしてテレビを見ていたものである。

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この記事へのコメント

らくちん
2006年07月17日 20:10
お名前を間違えまして本当に申し訳ございません。訂正いたしました。台湾の有権者の一票ほど、世界政治にとって値打ちの高い票は、他にないと信じています。関心を持ち続けたいと思っていますので、こちらこそ色々教えてください。
Hache
2006年07月17日 19:27
下手な訳を文中で紹介して頂き、恐縮です。「寝言さん」でご紹介預かり、『溜池通信』つながりの恐ろしさに怖さに怯えております。今後も、台湾情勢に関してご教示頂ければ、幸いです。

頭の中が粗雑なので、馬主席の人気(不人気)も台湾の民主主義が機能している結果なのだろうと考えております。ただ、台湾の民主主義が生き残ることが台湾海峡の「現状維持」に致命的な意義をもっている。"The Stategic Value of Taiwan"の延長線上には、台湾の民主政治が生き残れるかどうかに日米の死活的な利益がかかっていることだと考えております。

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  • 「台湾から馬英九・国民党主席の来日」について

    Excerpt: 「台湾から馬英九・国民党主席の来日」について 本物の台風よりも尤も厄介な台風が上陸すると中国からの逆台風が来る。こっちの方が始末に悪い。それてくれたのでやれやれである。自分たちの内政問題を日本に持ち込.. Weblog: 小山内翔龍のつれづれ俳日記帳 racked: 2006-07-16 04:27