確率の発想

日本人は、失敗を1%でも少なくしようと一生懸命考える。アメリカ人は、何%かの失敗を前提として、成り立つ仕組みを一生懸命考える。コンピューター・ネットワークでも、BSEでも、発想の違いがよくでていると思う。

アメリカにいたとき、クリスマスが過ぎてすぐ、ウォルマートの中で長蛇の列ができていたので驚いた。列の先頭をみるとそれは、レジでもなく、不良品の返品処理のところだった。僕も不良品を交換してもらったが、不良箇所の確認もせずに、さっさと新品に換えてくれる。客のほうも、苦情を申し立てるのでもなく、みんなさっさと代わりの新品を受け取って帰っていく。要するに、何%かの不良品が入っているのを当然の前提として、世の中が回っているようだった。

パソコンとパソコンをLANでつなぐ標準技術となっているイーサネットも同じ発想に基づいている。日本の研究者は、ネットワーク上にある特定の2台のコンピューターにコミュニケーションをさせるとき、データがよそにもれたり、行き損ねたりしないように、確実にデータの交換ができる複雑な方法を必死で研究していた。一方、アメリカの研究者は、ややいい加減で簡単な方法でデータをネットワーク上に流し、失敗すればやり直せばいいと考えた。ただ、データのやり取りに失敗する確率を計算し、平均何回やりなおせば、データのやり取りに成功するか必死で考えていた。LANの技術の開発には、アメリカ人のこの確率の発想が成功の鍵になった。

どうも、日本人は、最初の失敗を減らそうとし、アメリカ人は、失敗の確率を前提に仕組みを組み立てようとするようだ。太平洋戦争のときだって、日本は、100発100中を目指した精神主義だったし、アメリカは、数打ちゃ当たる方式だった。

アメリカで育ったインターネットも、みんなあっと驚くいい加減なシステムだった。そもそもインターネットは、安全保障上の理由から、ネットワーク上のどこに誰がいるのかを知っているセンターがなくて機能させるのが開発の出発点だった。ネットワーク上のコンピューターが、データを受け取ったとき、データの宛先に心当たりがない場合、「僕は、知らない」と、とにかくよそのコンピューターに渡してしまう。渡されたコンピューターが知っているか知らないかなんてそっちのけで、とにかく自分の手元から無責任に他に移すのだ。そのうち、その宛先を知っているコンピューターがでてくるだろうっていういい加減なシステムだ。インターネットの初期の頃は、大阪から東京に届いたメールの経路をみると、ロンドンを経由していたりして驚いたものだ。(今は、もっと知的な方法で経路選択をしている。)

BSEの検査にしてもそうなのだろう。アメリカ人にしてみれば、見落としや失敗があるのは当然で、それを前提とした制度を作るべきだと感じているのではないだろうか。交渉によって検査方法を取り決めて頭で納得したとしても、腹で納得していないので、いつまでたっても、ちゃんとできない。いやいや、これは、なかなか根が深いですぞ。

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この記事へのコメント

らくちん
2006年05月25日 20:31
うめもとさんお久しぶりです。MITSUBISHIの自動車に欠陥があったけれども、日本車全部を輸入禁止にしなかったぜ。とあちらさんは、思っているでしょうね。
2006年05月24日 08:56
らくちんさん、おひさしぶりです。以下はアメリカ食肉輸出業者のつぶやきです。

間違えて日本に輸出しちゃった、あの背骨付き牛肉なんだけど、ひとこと日本人が「キャッシュバック!」と叫んでくれれば、すぐに小切手送ってあげたのに。

あれだけモロに背骨出てるんだし、悪意は全然ないのよ。国内向けが日本に行ってしまった、ただの単純ミス。なーんで日本人がそんなに怒るのか、全然わかんないわ。ウチで箱詰めしたり検査している人たちにも、とりあえず説明はするけど、それで単純ミスがなくなるってわけでもないし…。

ということで、輸出再開したら、きっとまた背骨の入った肉が見つかると思います。

キャッシュバックじゃ許してもらえないかしら…。

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