放送と通信の融合:Media2.0

放送と通信の融合について、3回()続けたものの続編です。今日が、ヤマ場です。

テレビさんへ
さすがにこの世界に長くおられただけあって、テレビさんは、知識の幅がお広いですね。僕にも勉強になります。特に、テレビの方々は、総務省の動きについては、最近の政策の動きから役人の人事にいたるまで良くご存知で、感心してしまいます。僕の仲間のネットの連中ときたら、監督官庁の大臣の名前はもちろん、どこが監督官庁すら知りませんからね。役所といえば、税務所と証券取引所しか思いつきませんから。(証券取引所は、役所じゃなかったかしらん?)

そういえば、役所の動きに詳しい業界ということでは、かつての銀行業界もそうでしたね。MOF担と言われる、大蔵省の役人の接待係が、社内で力をもって、出世コースだったと聞いています。最近思うのですが、営業や財務と違って、MOF担などの世間で聞きなれない業界独自の部署が力をもっている場合、その部署の存在が、その業界の本質示しているように思います。昔の銀行が、結局、大蔵省銀行局の動向一つで、先行きが決まっていたのは、典型例です。

この点でいうと、放送業界では、編成局が力をもっているのは、興味深いことです。24時間しかない放送時間をどう配分するかということが、結局、電波という希少な社会的資源を特権的に使う放送局の存在基盤に直結しているからでしょう。

ところで、前回のテレビさんのメールを読むと、ネットとしては、ちょっと芯を食った反論をしてみたら、別の土俵の、広いフィールドに連れて行かれたような気がしないでもありません。このあたりが、熟練の技でしょうか。おじさまが、ニクイ(^_^) 

放送と通信の融合には、端末の融合、伝送路の融合、事業体の融合、コンテンツの融合と、四つの形態があるというテレビさんの説明は、頭の整理に大変役立ちました。しかし、いかにも、網羅的、規制的、役人的発想ですね。富士山をどう活用しようかというときに、富士山の衛星写真を見せられ、ここに街があり、森があり、道路があると説明を受けたようです。でも、実際に手や足を地面につけて探らなければ、実益のある行動をとれません。技術革新が毎日にようにおこるネットの世界では、新しい技術がでてきたとき、その技術の本質をいち早く見抜いたものが、実際の利用で成功します。富士山の例でいえば、中心の火口に自分の足ではいっていって、火山の本質的なことを理解する必要があると思います。

放送と通信の融合を考えるには、まず、放送と通信の本質的な違いを理解したほうが実用的だと思います。これまでの、テレビさんと僕(ネット)との議論を振り返ると、結局、次のようになるでしょう。

放送:一対多 且つ 片方向
通信:一対一 且つ 双方向 

放送は、通信の一部ですが、放送と、放送以外の通信とを区別するときは、上記のように、一対一通信か一対多通信かという違いと、片方向通信か双方向通信かという違いになると思います。

放送と通信の規制や制度の違いも、この本質によっています。放送は、一つの送信元から多くの人に、かなり一方的に送られる情報だけに、社会的に悪い影響がでないように、公共性が問われ、厳しい規制があります。一方で、通信は、一対一通信なので、情報が社会的に広まると想定されず、公共性よりも、プライバシーなどの個人の人権が優先され、通信の秘密が重視されます。

無線と有線という伝送路についても、この本質の影響を受けています。無線は、指向性が強くないために、一対多の通信により向いています。衛星放送などは、その最たるもので、一斉同報で広い地域の多くの人に情報を伝えるには、最高の方法でしょう。一方、有線は、線をユーザー数だけひかなけれならず、本来は、一対一に向いた通信手段です。もちろん、今は、携帯電話のように無線で一対一通信をしたり、ケーブルテレビのように有線で一対多通信をしていますが、これは、大変な設備投資がいるのです。技術的な進歩によって、無線と有線のこの得て不得手は、薄らいでいますが、本質的には、こうした特長があるのは、時々、顔を出します。

では、双方向と片方向というのを横軸に、一対一と一対多というのを縦軸にとって、整理してみた図をみてください。すると、左上にある放送と右下にある通信というのは、斜めに向き合います。そして、この放送と通信の間にある右上から左下に斜めに広がる領域が、放送と通信の融合が起こる分野といえるでしょう。

[放送と通信とその融合の関係図]
(下の図をダブルクリックしてください。鮮明な画像が見られます。)
画像


ここでは、例えば、GyaOなどのビデオ・オン・デマンド(VOD)は、片方向の一対一通信と整理することができるでしょう。また、インターネットの中でも、「Web2.0」といわれ始めている、ブログなどの新しい発想のWebが最近話題です。このWeb2.0 は、従来のホームページと比較すればより双方向性を強めたもので、一方で、他の通信に比べれば、一対多通信を強めたものといえます。その意味で、この図でも分かるとおり、Web2.0という発想と、放送と通信の融合という考え方とは、親和性があります。

この図で、僕が伝えたいことの一つは、放送と通信を明確に区分するのではなく、連続したものととらえ、より放送的なサービスとかより通信的なサービスという理解で整理しようとしていることです。例えば、従来のホームページなどのウェブをみてみると、アクセス数の非常に多いポータルサイトなどは、テレビの放送と変わらないマスメディアと理解されるべきですし、個人が運営して友達と家族しかみないホームページは、ほとんど通信のようなものでしょう。従ってウェブとしては、放送としての性質が強いものから通信としての性質の強いものまで、境目がなく、連続して存在していると理解できます。このような例が、テレビでもでてくるものと僕は思います。

僕は、この図を作りながら思ったのですが、放送と通信の区別がつかなくなるほどの融合が今すぐ実現するというのがなかなか想像しがたいとすれば、当面は、Media2.0とでも呼べるような状況が出現するかもしれません。Media2.0は、放送が、通信の要素をとりいれて、今の放送から連続的に進化した姿です。Web2.0が、通信から出発して、放送と通信の融合に踏み出したものだとすれば、Media2.0は、放送から出発して、放送と通信の融合を計るものです。ただし、Media2.0は、双方向性をとりいれたものですが、電話などの最も通信らしいものと違って、上り通信と下り通信が非対称的なものでしょう。

Media2.0は、Web2.0の成果を取り入れたものになると思えます。例えば、Web2.0的なサイトで集められた集合知が活用されて、ユーザーがネットを意識すらしないで、より楽しくテレビを見ることができるようになることができるかもしれません。もっと具体的なビジネスの話をするとすれば...いやいや、ここから先は、僕の企業秘密とさせてください。前回、テレビさんが述べておられたように、情報は、秘匿しておくことに価値があるものですから。へへへ。

おかげさまで、テレビさんとの会話を通じて、僕自身も頭の中が整理されてきました。やはり、こういうのは、色々と本音で話してみるべきものですね。

ネット拝

(あと、一、二回で終わります。次回は、ココ

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この記事へのコメント

田中誠
2006年04月21日 06:03
SNSをやっていない人が、Web2.0を語るのは滑稽ですね。

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