くうねるあそぶと挨拶

たまたま行ったコンビニで流れていた和製ラップで、「くうねるあそぶ」という歌詞がはいっていたので、思い出しました。1988年に日産がセフィーロを発売したとき、糸井重里作の「くうねるあそぶ」というコピーと、井上陽水が、あの個性的な声で「お元気ですか」と語るテレビコマーシャルが話題になりました。そのときのことについて、糸井重里が、興味深いエッセイを書いていました。(村上春樹との連作エッセイ「夢で会いましょう」だったでしょうか。)

「くうねるあそぶ」というコピーは、当時売れっ子の糸井としても最高のできで、自慢のコピーでした。ところが、できあがったテレビコマーシャルを見ると、井上陽水の「お元気ですか」の方が、断然印象が強い。それでひどく打ちのめされたというような話でした。

時代の流れを敏感に感じ取り、それを的確な言葉に変えることで、当代一の自負を持つ糸井が、最高傑作として送り出したコピーを、ただの「お元気ですか」という挨拶が無残にも打ち砕いてしまったのです。彼のエッセイのなかでは、打ちのめされてから考えてみると、挨拶というのは、何百年と勝ち残ってきた、いわば「コピーのなかのコピー」で、その強さは、できたてのコピーの比ではないとの結論でした。おそらくその頃から、糸井は、従来の「おいしい生活」、「くうねるあそぶ」などのライターの個性が丸出しになるコピーから遠のき始めたのではないかと思います。

あのコマーシャルでいうと、なんといっても陽水の、極めて特徴的な声が強烈だったと思います。あいさつというのは、何百年と生き残っただけに、川下の石ころのように角のとれた丸い言葉です。それだけに、話す人の声、態度、話し方によって強烈な印象を与えます。小学校の朝礼の言葉のようですが、やっぱり、挨拶は大切ですね。

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