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zoom RSS 現代アートの村上春樹化

<<   作成日時 : 2017/06/21 00:07   >>

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北アルプス芸術祭に行って(前回記事ご参照)、改めて現代アートは自然と相性がいいとか、「現代アートの村上春樹化」とかを思いました。今日(20日)の朝日新聞の夕刊に大きめの記事ででていましたね。

○ 現代アート(コンテンポラリーアート)と美しい自然は、相性がいい
越後妻有(ココ)、瀬戸内、北アルプスと、どこの芸術祭も豊かで美しい自然があります。世界でもっとも美しい美術館といわれるデンマークのルイジアナ美術館(ココ)でも、美しい海を背景にしたヘンリー・ムーアの彫刻は感動的でした。しみじみ、現代アートと美しい自然は相性がいいと思います。

そもそも現代アートは、その基本コンセプトからして、自然と相性がいいのだと思います。印象派以後のモダンアートへの反発から、現代アート(コンテンポラリー・アート)は生まれました。

その反発の一つが、モダンアートが置かれる美術館の白い壁で囲まれた四角い部屋=ホワイトキューブから脱出することです。人工的で中立的な空間で鑑賞するのではなく、野外(ランドアート)や街の中で、アートを追及していきます。

その行きつく先の一つが、豊かな多様性と美しさをもった地方の自然に中に、その自然に適合し、あるいは対峙するアートをたくさん展示する芸術祭になったと思えてなりません。鑑賞者は、便利に行けて人も多い美術館ではなく、かなりの時間と費用を払って、普段はあまり人が来ない地方にわざわざ行って鑑賞するのです。だから、短期間に一か所に多くの作品を集めるという芸術祭の方法が合うのでしょう。

○ 現代アートの村上春樹化
最近の芸術祭には、ファインアート(純粋芸術)の愛好家ではなくて、子供も含めアートの歴史も背景も知らない一般の人が、たくさん集まって来て、おもしろいおもしろいと言って満足してみていきます。子供が作品にさわり、周囲を走り回って遊ぶのを想定した作品すらあります。

従来のファインアートは、現代アートも含め、美術界のコンテキストを重視してきました。村上隆が述べているように(ココ)、作家がファインアートで成功するには、美術史を知悉し自らの作品を美術界のコンテキストの中でどう位置付けるかで勝負が決まる状況でした。つまり、美術業界の中の人同士が、業界の経緯を踏まえて、評価し、評価されてきたのです。モダン・アートの破壊者であり現代アートの創始者ともいえるデュシャンですらも同じ範疇にはいります。美術史のコンテキストの中でみればこそ、便器を泉と称して美術展で展示することに貴重な価値が見いだせたのです。

これに対して、最近の地方の芸術祭では、アートの歴史も経緯も知らなくても、純粋に面白い、不思議だ、感動する、と言える作品がたくさんあります。背景の自然をうまく使ったり、その土地に伝わる伝説や歴史に関係づけたり、地元の素朴な人の積極的な参加などが、前面にでて強調され、アートの歴史の中での位置づけは少し後方に控えます。強いて言えばそういう普通の人にも感動を与えるということにこそ、閉鎖したヒエラルヒーになってしまった現代アート業界へのアンチテーゼとしての主張が隠されています。

ところで、村上春樹も、デビュー当初から、純文学といえるのかという批判がありました。ノーベル賞についても世界的な人気を理由にするなら、「ハリーポッター」に先にノーベル賞を出せという否定的意見もあります。しかし、村上春樹の偉大さは、純文学業界での評価を無視し、反発するかのように、純文学を読まない人にも、読みやすい平易な言葉で、ストーリーでひきつけながら、何かしら純粋な芸術的感動を与えられことにあります。

そういう意味で、現代の芸術祭は、どんどん村上春樹化しているのではないかという思いを強くしました。それは、素晴らしいことだと思います。

○ ビジネスではない
越後妻有、瀬戸内の芸術祭を成功させた北川フラム氏は、今年は、北アルプス、奥能登の二つの芸術祭のディレクションを行い、今や超売れっ子です。「芸術祭成金」との心無い批判もあるようです。しかし、これは、ビジネスマンとしての視点でみれば、ちゃんちゃらおかしな、子供じみた批判です。

10年以上、実ビジネスの経験のある人が、この芸術祭を半日もみれば、これはとてもビジネスにならないと分かります。関係者の誰かが、長期間大金を利益として出せるようなオペレーションではありません。どの関係者も、現代美術や地方の活性化への思いがなければ、とてもやりきれない作業でしょう。

北川氏にしても、何度も地元の方とコップ酒を酌み交わして協力をとりつけ、アーティストのわがままな妄想を実現していくのに大変な苦労をしたことでしょう。都会の画廊で、お金持ちに移動できる美術品を売っている方がビジネスとしては、よほど効率的です。

芸術祭は、関係者のだれもが、義理か、矜持か、酔狂がなければできません。

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