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help リーダーに追加 RSS エンパワーメント理論とこれからのビジネス

<<   作成日時 : 2008/06/24 04:50   >>

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メンバーが協調しつつも、創造的な仕事をしなければならないポスト産業社会の組織においては、お金・報酬だけでメンバーの動機付けをするのは、難しい。そこでは、経営学でいう動機付けに関するエンパワーメント理論が注目されている。この理論では、内発的な動機付けとして、自己効力感、影響感、有意味感、選択(自己決定感)の四つの次元があるとされる。この四つって、組織活性化だけでなく、値段以外の社会的価値を求める現代の消費者向けのビジネス、ひいては、企業クライアント向けビジネスでも、使える視点じゃないかしらん。

まずは、経営学におけるエンパワーメント理論を見てみよう。(主に、「グローバル時代の人的資源」渡辺・ギデンズ・今田著、及び、サイトで公開されている青木幹善氏の論文による。)

エンパワーメントというと、社会運動とか自治体における権限委譲の話になりがちだ。しかし、ここでは、社会運動などからは離れ、経営学に絞り、その中でも、権限配分に関する社会学的な概念ではなく、動機付けに関する心理学的なエンパワーメントの概念に絞ってみる。

物質的な豊かさを追求した近代の産業社会では、組織のメンバーは、他のメンバーを出し抜いてでも、与えられた利益目標をより多く達成し、より多くの報酬と地位を得ようと努力する。決められたレールの上での機関車のスピード競争である。シュシュポッポッ、ひたすら走る。日本で言うと、団塊とそれ以前の世代の高度成長期の原理である。

ポスト産業社会では、人々の主な動機付けの要因が、「所有」(もつこと)から、「存在」(いかに生きるか)に移行している。しかも、メンバーは、他のメンバーと協調しつつ、新たに自ら組織目標自体を創造的に設定し続けていかなければならない。そこでは、お金という報酬だけで社員を動機付けるのではなく、心理学的な内発的動機付けが必要になる。

Thomas & Velthouseは、仕事に対する内発的動機付けとして、次の四つを挙げている。
「」内は、らくちんが、勝手に対応してつけた、仕事のやる気がでるときのサラリーマンの心情である。

1)自己効力感
人間が具体的な何かをしようとするときに、適切な行動を成し遂げられるという予期、および確信の度合い。努力―成果期待。
「この仕事、僕は、ちゃんとできるよね。」という確信。
2)影響感
その仕事の達成によって影響を与えたと感じる度合い。成果―報酬期待。
「この仕事、ちゃんとできたら、きっと、自分か誰かにいいことあるよね。」
3)有意味感
個人の理想や基準という観点から判断されたタスクの目標とか目的の価値。報酬の価値。
「この仕事ができると、とっても社会にいいことだよね。」
4)選択(自己決定感)
ある人の行動がどの程度自己決定されたと知覚しているか、その度合を示すものである。決定に関与する知覚された機会。
「この仕事、やり方も、自分が選んで決めたんだよね。」

この四つは、人々が元気になにかをやるときの「やる気のもと」を上手く表現している。僕が仕事をしていても、報酬の多寡よりもむしろ、上の四つがどれだけ満たされるかによって、やる気の出具合が違う。

因みに、自己効力感というのは、心理学や社会認知学で重要な概念らしい。Wikiによると、自己効力感を生み出すのは、次のようなものがある。
達成体験:最も重要な要因で、自分自身が何かを達成したり、成功したりした経験
代理経験:自分以外の他人が何かを達成したり成功したりすることを観察すること
言語的説得:自分に能力があることを言語的に説明されること、言語的な励まし

この内発的な動機付けの四つの次元って、組織内部の活性化だけでなく、消費者ビジネスでも、配慮すべき重要なポイントではないかと思う。今、ポスト産業社会において、比重を増しているメディアとかサービスの事業においてはなおさらである。

消費者が影響感・有意味感を得られる「環境にやさしい」商品・サービス、選択感を得られる比較サイト、代理経験によって自己効力感を得られる電車男のようなネット物語。宝石や衣服などのモノよりも、エステなどの裸の自分にお金をかけるという傾向も、自己効力感や選択、影響感によっているように思える。

ついでにいうと、企業クライアント向けのビジネスでも、上の四つの視点は、重要だと思う。もともと、お客に「選んだ感」を持たせるというのは、営業の基本だ。さらに、最近では、どの企業も社会的意義なども重要視しているので、影響感、有意味感もうまくアピールしなければならない。

これがまさしく、ポスト産業社会では、人々の主な動機付けの要因が、「所有」(もつこと)から、「存在」(いかに生きるか)に移行しているということなのだろうと思う。抽象的で概念的な話だけれども、日々のビジネスの現場でひしひしと感じる現実的な話である。

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