|
株を長期保有する投資家に対する優遇策を制度的に準備するべきではないだろうか。投資家側でも、長期のより有利で安定的な投資を望む資金も多い。また、企業の方もより長期の視点をもつ投資家を望んでいる。こうして、潜在的な需要と供給のニーズがあるのに、それを満たす金融商品、金融手法がない。金融業界の抜け目の無い人たちが、その現状に手をこまねいているのは不思議だ。 今の株式市場は、短期的な収益の実現を投資家も企業側も競っている。あるいは、競わされている。特に企業側にとってやっかいなのは、利益率だけならまだしも、「利益の成長率が低下した」として、株価がさがることである。そんな幾何級数的に利益が永遠に伸び続けるなんて、現実にはありえないと思うのに、市場は、それを要求してくる。 企業としては、より長期的視野で見てくれる投資家が出資してくれるほうがありがたい。余計なM&A防衛策をとることも、株式の持合をすることもないだけに、余分なコストを削減できて利益が増える。そういう長期的投資家に対して、幾らかプレミアムを払っても十分そろばんにあう。株式の持合をして塩漬けの株を持ち続けるよりよほど健全な企業経営だ。 投資家側からみても、今の一流どころの投資家、投資ファンドは、「長期投資」を標榜し、事実そういう投資行動をとっている。それは、なにも金持ちは、気が長くて人がいいからではなく、バフェットやグリーンスパンがいうように、「市場は、長期投資をするものにプレミアムを払う。」ということを信じ、より高利益を目指しているからである。 それに、当面使うことの無い長期の資金というのは、そもそも多い。日本が1500兆円も持っていて有効活用されていない個人資産にもたくさんそういう資金があるだろう。投資する側にも、長期でより有利で安定的な投資を望むニーズは強い。 こうして資金の出し手と受け手、需要と供給の双方に、長期投資に対してプレミアムを払う潜在的なニーズがあるのに、そのニーズを端的に満たす制度がない。資金のあらゆるニーズに対して抜け目なく商品と制度を作ってきた金融界がどうして手を打たないのか不思議だ。 僕は、金融の素人なので、具体的には、どうするべきなのかよく分からない。長期保有株主に短期保有株主よりもいくらか高い利益分配(配当)をする方法を考えたい。例えば、2年以上持ち続けた株主は、配当をそのまま非課税で株に換えることができるオプションがあるとすれば、複利で回るし、長期的な投資利回りが大きくなる。アメリカでは、一部導入されていると聞いたがどうだろう。 日本は、1500兆円もある個人金融資産をどう上手に社会として活用するかが、重要な経済政策でもあるはずだ。制度面でも、一つ考えてもらいたいものである。 それに、日本社会全体として、海外から長期の投資を受け入れるのに向いているのだから、それを促進するようにすればいいのにと思う。日本の企業は、海外からの短期的な投資に嫌悪感をぬぐいきれず、それよりもプレミアムを払ってでも長期的視野の投資を受け入れようとしているようにみえる。一方で、日本の企業は、国際競争力のある製造業を基盤として、長期的な投資家に対してプレミアムを払う準備と能力をもっている。 ここまで書いてきて今思った。日本は、短期間に大儲けはしにくいけれども、カントリーリスクが少なく、長期で安定的な高利回りを産みやすい市場を目指すべきかもしれない。やけに香港やシンガポールの市場をうらやましがるだけでは、意味が無いのではないだろうか。それに、本当に長期で安定的な高利回りを生むのであれば、後は、それこそ抜け目の無い金融業の人たちが、短期の資金を長期に換えてでも、資金を投入してくるように思う。 いやいやこれは、素人が難しい領域に深入りしてしまった。感覚だけで言い換えると、日本の企業も個人投資家も、今の資本市場での行動は、和服を着ていた人が着慣れない輸入の洋服を着てとまどってあたふたしているような珍妙さがあるように思う。いまさら和服に戻すのは、ありえない選択肢だが、同じ洋服を着るにしても、サイズを日本人の体形に合わせる方法を探してみたい。 |
| << 前記事(2008/03/16) | トップへ | 後記事(2008/03/20)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2008/03/16) | トップへ | 後記事(2008/03/20)>> |