らくちんのつれづれ暮らし

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 商業は虚業か

<<   作成日時 : 2006/05/21 16:25   >>

トラックバック 4 / コメント 0

以前(ココ)、サンデープロジェクトで「ホリエモンは、虚業か」という議論をしているのをみて、そういう田原さんの仕事も虚業じゃないのと思ったり、商社という自分の仕事も虚業かなと考えたりした。思い起こせば僕もそうだったが、学生さんは、商社、銀行、証券会社、広告代理店、テレビ局などに就職活動に行くときに、この仕事が虚業ではないかと、一度は考えるのではないか。面接試験でも、話題になりやすい話かもしれない。

確かに、農業や工業なら、生産により物理的に商品の数を増やしているので、社会的な価値がよく分かる。しかし、商業は、商品の数を増やす訳ではないし、品質を上げる訳ではない。商業は、このように付加価値の内容が不明瞭でありながら、せいぜい理屈をこねて積み上げた付加価値でも説明がつかない巨額の利益を短期間にだすことがあるので、うさんくさくみえる。

商人というのは、価値を生み出すというよりも、価値の差異を見つけだすのが、仕事ではないだろうか。紀伊国屋文左衛門は、和歌山の価値体系では10円しか価値を認められないミカンを、東京の価値体系では100円であるのを見つけ出し、和歌山から東京にミカンをしこたま船で運びこんで売って儲けした。価値体系とは、ほぼ文化と同義だろうから、二つの異なる文化の違いを見つけ出し、そこに融通というかチャンネルを作って商品を流すのが商人なのだ。

従って、そもそも、商業では、創り上げた価値を足し算してその利益を説明することは不可能で、二つの価値体系の差異、即ち引き算でしか利益の説明ができない。言い換えれば、異文化の交流こそが商業の付加価値であって、それを付加価値と認めないなら、商業は、虚業だとなる。ここに、商業を胡散臭く思う人と、商人との間にそもそも世界観とでもいうような根本的な発想の違いがでてくる。

普通の商業以外でも、この説明は成り立つ。金融業というのは、お金という商品の扱いに特化した商人だ。1年後の価値体系での100万円と、現在の価値体系での100万円の違いが金利だともいえよう。もっというと先端技術を使った製品を作るメーカーも、未来の価値体系で簡単な製品と技術を、現在に導きいれているという点では、現在と未来との文化の差異の解消を行っている。

恐らくは、社会活動全般をそういう価値の差異の解消とみる見方と、付加価値をつけていく連鎖とみる見方と、二通りの説明が成り立つのだと思う。丁度、光について、粒子説と波動説があるように。そして、商業については、文化差異の解消、製造業については価値の付加と説明したほうが、より説明しやすいのだと思う。丁度、光の回析や干渉が波動説で説明しやすいように。

この発想の違いは、就職活動のときだけでなく、社会人になった後、毎日の仕事でも常に繰り返し意識させられる。例えば、値段の議論のときに、メーカーや工場の理屈は、原材料がこれで、製造費がこれで、だから、この値段が適切だという。商社や営業の理屈は、コストがどうであれ、市場が買うならたっぷり利益をとって高い値段で売ればいいし、市場が受け入れないなら価格を下げるしかない。この議論は、ほとんど世界観の違いに行き着き、終わりがない。

とはいえ、商人は、自分の作った異文化の交流が、結局は、自分たちの利益の源泉である二つの文化の差異をなくしていく。また、その利益にひきよせられて他の商人もその交流に関わるので、差異の解消は、加速する。東京で100円で売れるのが分かったミカンは、和歌山でも10円から値上がりしていく。この差異の解消こそが、商業の社会的価値ともいえる。従って、一般的に、もし規制がなければ、同じ商品の同じ方法では商業的巨利は、長続きしないし、これは、商業の本質でもある。だから常に商人は、新たな差異を求め続けなければならない。ミカンが終われば塩鮭、塩鮭が終われば材木と。それを胡散臭いと見る人もおれば、ロマンがあって創造的だととらえる人もいるだろう。

そういう価値や文化の差異を利益の源泉とする職業と、価値の構築を利益の源泉とする職業に、貴賎はないと僕は、思う。今、職業を決めようとしている人には、自分の内心の世界観によりフィットした仕事を選ぶほうが、あとあと楽だといえるだけだ。

ところで、幾つかの国と仕事をした経験に照らせば、日本は、最も製造業的世界観が強く、中国は、商業的世界観が強いように思うがどうだろうか。もう少し詳しく言えば、日本の社会の場合、製造業的世界観が強いだけに、希少なきっちりとした商業的行為は高く評価してくれるし、いい加減な製造業的行為には、厳しい社会的制裁がある。そして、その裏返しに、中国では、希少なきっちりとした製造業には、高い評価を得られるし、いい加減な商業的行為には、実に厳しい制裁が待っている。

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(4件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
商いについて -その意義と倫理についての二つのサイト-
たまたま、「商い」についてとても面白い、と思ったネットのエントリーを続けてみまし ...続きを見る
門司港に暮らしながら-ココログ別館-
2006/05/25 07:38
[???]??????????
&?&Ф&?&&&&?$??&?&&?&&Τ?%&&&&&&?&&ξ&?&&&&&&???γ&&??&&&?&&?&&Τ?&&Τ?&?&&&?&? &&??&&&a&??&&?&&???&??&?&&???%&??&?&??&&&&&&&???&&?&&&&&&&?&&&&&&&?&&&&?&?&&? &&&??Τ?&&?&&???&&??&?&&?&&&?&?&&?&?&&?&&?&& ...続きを見る
???????@??????
2006/05/26 09:59
2006年のアクセス
2006年のこのブログの記事で、アクセスの多かったものを挙げてみた。こうした小規模の個人のブログでどういう話題にアクセスが集まるか傾向がみえて面白い。また、最近、このブログに来られた方への自己紹介も兼ねたいと思う。 ...続きを見る
らくちんのつれづれ暮らし
2007/01/09 21:38
「狼と香辛料」支倉凍砂
雪斎さんのブログでの紹介を見て読んでみたら、はまりました。商人のなれの果てともいえる商社に勤める身では、こういうロマンあふれる商人の物語を読むと本当に癒されます。現代の商社で仕事をする上でも通じる、とても本質的で大切なことを、語っています。来年から始まるアニメが楽しみ。文科系の学生さんも就職活動の参考に読んでみれば、どうかしらん。 ...続きを見る
らくちんのつれづれ暮らし
2007/11/18 21:02

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文